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削偽定実 [さ]

『古事記』序第二段に記される天武天皇の詔にある。
原文は以下のようである。
於是天皇詔之、朕聞諸家之所賷帝紀及本辭、既違正實、多加虚偽。當今之時、不改其失、未經幾年、其旨欲滅。斯乃、邦家之經緯、王化之鴻基焉。故惟、撰録帝紀、討覈舊辭、削偽定實、欲流後葉。
文意は、諸氏が保有する帝紀(天皇の事跡をまとめた記録)と旧辞(神話伝承や諸氏の家伝)は事実と異なり虚飾を加えた部分が少なくない。そこで偽りを削り事実を定め、のちのちの世に残す」という。
ここでいう「偽り」とは客観的な意味での誤り、虚偽ではなく、天皇家にとって都合の悪いことにほかならない。しかし無理な「削偽定実」の結果、『日本書紀』は様々な局面で自己矛盾に陥り、自己矛盾を起こしていることを承知の上でこじつけや論理の飛躍を呈している。また天孫降臨神話は天皇家が独占すべきテーマであるにもかかわらず、大伴氏の遠祖が難波・河内地方に降臨したことを認める説話を載せるなど、天皇家が絶対的な権力を掌握し得ていなかったことを示している。
タグ:卷之二鶏子
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